~年金額減額の仕組み~

  1. 物価が下がると年金額も下がる

    年金には、「物価スライド制」とか「賃金スライド制」という仕組みがあります。
    現役世代の賃金や世の中の物価が上昇しても年金額が上昇しないと年金生活者は困窮する可能性があります。そこで1970年代のように異常に物価や賃金が上昇しても、年金で暮らす高齢者の生活が困らないよう、このような場合は年金額も上昇する仕組みを作ったのです。
    仮に前年の物価や賃金が1%上昇したら、翌年の年金額は1%上昇させるのです。逆に前年の物価や賃金が1%下がったら、翌年の年金額も1%下げるのです。

  2. 年金額を抑制する制度「マクロ経済スライド制」

    このようにして国は現役世代の賃金や世の中の物価の変動に応じて年金額をコントロールしてきましたが、さらに「年金財政の改善」を目的として、平成16年に「マクロ経済スライド制」を導入しました。
    「マクロ経済スライド制」とは、少子高齢化による年金財政の悪化を防ぐため、年金額をコントロールする仕組みです。
    年金の保険料を払ってくれる現役世代の減少(=少子化)や年金をもらう受給者の増加(=高齢化)を「スライド調整率」として年金額を調整し、年金額の上昇を抑制しようとする制度です。
    仮に前年の物価や賃金の上昇が1%であったとしても、「スライド調整率」が0.9%であれば、翌年の年金額は0.1%しか上昇しないことになります。(0.1%=1%-0.9%)

  3. 平成31年度年金額は?

    この「マクロ経済スライド制」は初めて平成27年に発動されましたが、今年4年ぶりに発動されることになりました。
    そこで、今年の年金額がどのように計算されるか見ていきましょう。
    賃金が物価の伸びを下回る場合は、賃金の伸びを元に計算することになっています。
    昨年の物価は1%上昇しましたが、賃金の上昇が0.6%だったため、今年の年金額は0.6%上昇することになるはずなのですが、「スライド調整率」0.2%および「昨年までのスライド抑制分」0.3%を引いた0.1%の上昇ということになりました。(0.1%=0.6%-0.2%-0.3%)
    これにより、老齢基礎年金の満額は780,100円(昨年度は779,300円)と年額で800円増えることになりました。老齢厚生年金を月額10万円受給できる人は、年額で1,200円増えることになりました。
    今年度はたまたま物価や賃金が上昇したので、マクロ経済スライドが発動されても年金額が0.1%上昇しましたが、今後は現役世代の賃金や物価が下がった場合、マクロ経済スライドが発動されると、年金額が下がる可能性は十分にあると考えた方がよさそうです。
    まだ65歳前の方々であれば、年金の受給を70歳まで遅らせて42%増額してもらえる「年金の繰下げ制度」を利用するなど、年金額を増やす工夫をすることをお勧めしたいと思います。

    • 現役世代
      の賃金の上昇
      (+0.6%)
      • スライド調整率
        (▲0.2%)
      • 昨年までのスライド抑制分
        (▲0.3%)
      • 平成31年度の上昇分
        (+0.1%)