遺言書を作りましょう!

  1. 相続税の心配より相続争いの心配

    遺言書を作成している人はあまり多くはいません。

    「我が家は財産が少ないから必要ない」とか、「家族の仲がいいから相続争いになるはずがない」というのが遺言書を作らない主な理由です。
    しかし、相続に詳しい弁護士は、「相続争いはごく普通の家族にも起きる可能性がある」と言っています。「相続争いが起きたとき、どんなに優秀な弁護士でも遺言書がなければ勝てない。相続財産のある人もない人も作成した方がよい」と言っています
    相続というと、相続税の心配をする人がいますが、相続税を払わなければならないほどの財産を持っている人は亡くなった人のわずか8%しかいません。
    したがって「相続税」の心配より「相続争い」の心配をする必要があるということなのです。

  2. 遺言書を遺すメリット

    遺言書を作成することにより、相続争いを未然に防止する事ができます。
    遺言書を作成する主なメリットは、下記の3点です。

    • 相続人全員で話し合う必要がなくなる(亡くなる人の意志が確認できる)
    • 法定相続人以外にも相続することができる(介護してくれたお嫁さんへの遺産分け等)
    • 遺産分割協議書が不要になる

    「遺産分割協議書」は、相続した不動産の相続登記や亡くなった人の預金をおろす場合に必要となるものです。遺言書を作成すれば、原則として遺産分割協議書は不要です。

  3. 公正証書遺言がお薦め

    民法に定められた遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3通りあります。
    「自筆証書遺言」は簡単に作れてお金がかからないというメリットがある反面、民法に定められたルールに従わないと無効になる可能性があること、紛失・改ざんの恐れがあることなどのデメリットがあります。
    また自筆証書遺言が見つかったときに家庭裁判所で受ける遺言書の様式チェックが必要になります。これを「検認」と言っています。検認が必要なので自筆証書遺言は少々面倒です。
    これに対して弁護士など専門家が勧めるのは「公正証書遺言」です。
    公正証書遺言は、これら自筆証書遺言のデメリットがありません。ただし、公正証書遺言の作成にはお金がかかります。相続財産の額にもよりますが、相続財産1億円を配偶者と子ども1人に相続させる場合、手数料は83,000円です。高いといえば高いですが、相続争いを防ぐことができれば安いものでしょう。
    もうひとつ必要なことがあります。それは、「二人の証人」です。この「二人の証人」は遺言者がわざわざ探す必要はなく、公証役場がアルバイトを雇ってくれますので面倒なことはありません。アルバイト料は、二人で1万円~2万円程度と考えればよいでしょう。

    なお、推定相続人・受遺者及びその配偶者並びに直系血族などは証人になることはできません。

      作り方 メリット デメリット
    自筆証書遺言 遺言の全文・日付・氏名を本人が自書し、押印。 ・簡単に作れる
    ・お金がかからない
    ・無効になる可能性がある
    ・紛失・改ざんの恐れある
    公正証書遺言 遺言内容を本人が口述し、公証人が筆記する ・無効になる可能性ない
    ・紛失・改ざんの恐れない
    ・お金がかかる
    ・手続きが面倒
    秘密証書遺言 本人が遺言書に署名・押印して封印。 ・遺言内容を秘密にできる
    ・紛失・改ざんの恐れがない
    ・無効になる可能性がある
    ・手続きが面倒
  4. 遺言書をめぐる最近の法改正

    「自筆証書遺言」は、遺言の全文・日付・氏名を本人が自書(手書き)し、押印して作成する必要がありますが、2019年7月からは、財産目録はパソコンで作成したり、通帳のコピーでも可能になりました。財産が多く財産目録を作成するのに手書きでは大変だという方には大きなメリットになります。(ただし、財産目録の各ページに記名・押印をする必要があります)
    2020年7月10日からは、自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)で預かってもらうことができるようになります。従来は、自筆証書遺言を作成すると自宅で保管するケースが多かったため、紛失したり改ざんされたりすることが多かったのですが、住居地近くの法務局で預かってもらうことができるようになります。
    また同時に自筆証書遺言の様式不備のチェックをしてもらうことができるようになります。
    これにより自筆証書遺言に従来必要だった「検認」を受ける必要がなくなります。検認が要らなくなるのはたいへん大きなメリットです。
    注意しなくてはならないのは、法務局で預かってもらう場合、本人が法務省に出向かないと受け付けてもらえないということです。

    遺言書は、「家族への最後のラブレター」と言われています。ぜひ作りましょう!

  5. 参考ホームページ

    「民法(相続法)改正」(法務省)http://www.moj.go.jp/content/001310392.pdf
    「公証人連合会」」http://www.koshonin.gr.jp/business/b10

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